メルカリの稼ぎを申告していないと税務調査の対象になるので要注意

「メルカリ」や「ヤフオク!」などのフリマアプリを利用して利益を得ている方は、確定申告が必要です。
税務調査は法人だけでなく、個人にも行われており、税務署はインターネット関連の申告漏れに対する調査体制を強化しています。
こちらの記事では、フリマアプリ利用者が税務調査の対象となる理由と、国税当局が無申告者を見つける方法、そして税務調査を回避するポイントについて解説します。

税務署がフリマアプリ利用者への税務調査を強化している理由

フリマアプリの利用者が増加していることに伴い、税務署は資産の売買に対する税務調査を強化しています。
スマホが登場する以前は生活用動産を店頭で買取してもらうことがほとんどで、ビジネスとして転売やせどりを行っている人は一握りでした。
しかし、スマホが普及したことでアプリを利用して個人間売買が簡単にできるようになり、ビジネスとして転売業を営む方が増えました。
転売で利益が発生したとしても、確定申告を行っていれば税金上の問題はありませんが、申告していない人が多数いることが問題となっています。
無申告者を放置することは課税の不公平に繋がりますので、税務署は確定申告を行っていないフリマアプリ利用者に対して、積極的に税務調査を実施しています。

フリマアプリで得た収入の課税区分

フリマアプリを通じて売却した際の利益は、所得税・住民税の課税対象になりますが、税金の計算方法は売却した資産の種類や目的によって変わります。

資産の売却は譲渡所得の対象

資産を売却した際に発生した利益は、譲渡所得の対象です。
譲渡とは所有資産を移転させる一切の行為をいい、不動産や金地金、株式等を売却した場合には譲渡所得として税金の計算を行います。
売却金額から必要経費を差し引いた額が譲渡所得となり、所得金額に応じた税率を乗じて税額を算出します。
資産を売却したとしても、利益が発生していなければ所得金額はゼロ(マイナス)ですので、所得税は発生しません。

生活用動産の譲渡による所得は非課税対象

資産を売却した場合、原則は譲渡所得の対象となりますが、メルカリ等で売却した資産が家具や衣服など、生活に通常必要な動産であれば所得税は非課税です。
不用品を処分して利益が出たとしても非課税対象ですので、税金がかかることはありませんが、売却した資産が1個(1組)の価額が30万円を超える貴金属や宝石などについては、非課税対象から除外されますので注意してください。

転売目的の売買は事業所得または雑所得の対象

メルカリ利用者のうち、税務調査を受けやすいのが事業としてフリマアプリを利用している方々です。
事業や転売目的でフリマアプリを利用している場合、事業所得や雑所得として所得税を計算します。
事業所得は青色申告特別控除や損失金額の繰越制度など、税制上の優遇措置を受けることが可能です。
一方、事業として転売等を行っていたとしても、帳簿書類を作成していない場合には、基本的に事業所得ではなく雑所得の対象となるので注意してください。

国税当局がフリマアプリの無申告を把握する手段

国税組織は、強力な権限と情報網を最大限活用して、フリマアプリで売買している実態を把握しようとしています。

インターネット事業専門の調査チームが設置されている

国税組織の中には、インターネット関連の税務調査・情報収集を専門的に行う電子商取引専門調査チームが設置されています。
インターネットが普及してきた段階から、取引が広域化、国際化しており、誰でも事業を行うことができるようになりました。
店舗がなくても事業を営めるようになった反面、取引の匿名性が高いと納税者の把握が困難なる問題が生じたことから、電子商取引専門調査チームを設置し、無申告者の把握および摘発を行っています。 

SNSも国税当局の情報収集源の一つ

インフルエンサーの申告漏れが報道されているように、SNS上で発信する内容にも注意が必要です。
国税当局は、SNSを情報収集源の一つとして活用しています。
SNS上では、事業内容やフリマアプリによる売買情報を発信している方もいますが、税務署は発信内容と実際の申告事績を照合し、乖離がないかチェックしています。
SNSの発言よりも申告内容が過少であれば、実態解明が行われますし、申告事実が無ければ税務調査で無申告の指摘を受けることになります。

運営会社を調査して取引事実を把握する

事業者は一定の取引等を行った際、税務署へ支払調書等を提出しなければならず、税務署は支払調書の情報から申告漏れがないかチェックしています。
また国税当局は、必要に応じてフリマアプリの運営会社を直接調査し、登録者の情報を収集することもありますので、フリマアプリを利用している事実を完全に隠し通すことはできません。

税務調査を受けた場合に課されるペナルティ

税務調査で申告漏れが指摘された場合、本税だけでなく加算税・延滞税も納めなければなりません。
加算税は、申告期限までに正しく申告しなかった場合に課される税金です。
無申告の場合に課される「無申告加算税」の税率は15%、修正申告の際に課される「過少申告加算税」の税率は10%となっています。
申告漏れの金額が大きければ加重分として税率が5%上乗せされますし、意図的な税金逃れは「重加算税」の対象となります。
無申告加算税の代わりに課される重加算税の税率は40%、過少申告加算税の代わりに課される場合の税率は35%と、ペナルティは非常に重いです。
延滞税は、申告期限までに税金を納めなかった場合に課される税金です。
納付が遅くなるほど延滞税の額は日々増えていきますので、申告誤り等に気が付きましたら、1日でも早く申告・納税を済ませた方がいいでしょう。

メルカリ利用者がやるべき調査対策

税務調査の対策には「調査を受けないための対策」と、「税務調査で誤りを指摘されないための対策」の2種類あります。

利益が出ている場合は必ず申告すること

税務調査を受けないために必ずやらなければいけないのは、利益が発生したときは忘れずに申告手続きを行うことです。
税務調査は、本来納めるべき税金が支払われていないときに実施されますので、正しい内容の申告書を提出していれば、税務調査を受けることは基本的にありません。
また、無申告の場合に課される無申告加算税は、修正申告の際に納めることになる過少申告加算税よりも重いため、ペナルティを軽くするためにも申告書は期限内に提出してください。

売上・経費に関係する書類は保管しておくこと

確定申告書を提出したとしても、計算誤りがある場合や申告内容に疑義があるときは、税務調査を実施することがあります。
税務調査では売上だけでなく、必要経費が適切に計上されているかをチェックします。
税務署は基本的に口頭による説明を証拠としては認めませんので、経費を否認されないためにも、物的証拠の提示は必須です。
確定申告書を提出する際に領収書等を添付する必要はありませんが、税務調査を受けることも考え、契約書や領収書などの関係書類は破棄せず保管してください。

まとめ

フリマアプリに対する税務調査の件数は今後増加する可能性が高く、申告が必要であることを世間に認知させるために、税務調査を集中的に実施することも考えられます。
メルカリの稼ぎが大きいほど税務調査の対象となりやすいため、申告書を提出することはもちろんのこと、税金対策のために税理士へ相談することも検討してください。

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